住宅とは「住むための機械」であると高名な建築家が定義したのは、50年以上も前のことです。鉄とコンクリートの近代材料で造られる建築を機械のようなシステムに比喩したのは、近代建築の将来を見据えての鋭い洞察でした。今日、建築はまさに機械のように機能し、人々にサービスする道具となっています。その最たるものが病院であり、介護施設です。人や物や情報の動きのシステムを合理化し、かつ快適に過ごせる場の提供という最も先進的な設備、施設をつくるよろこびがそこにあります。我々が医療施設を進んで手掛けようとしている理由です。人のための建築を創ることが、我々の使命です。 |
使われなくなった施設、時代遅れの機能しか持たない施設、それでも建設当初は人々の思いが詰まった結晶だったはずです。建物はいつの時代も、その時代の文化、技術を反映しています。我々の文化は先人たちが築いてきたものの上に成り立っているのであり、全てがスクラップビルドで今日に至っているのではありません。 古い建物のリノベーション、リニューアルを手掛けていると、先人たちの息吹が伝わってきます。新築以上の労力がかかるリニューアルですが、先人たちと対話しながら新しい命を吹き込む醍醐味は他では味わえない快感です。物は朽ちても精神は朽ちません。古い建物の再生は環境に有利なだけでなく、私たちの文化、文明に対する継承と尊敬のためなのです。中野区の廃校になった小学校を地域の福祉センターに改修しました。千葉大附属病院でも380床の病床がすべて更新されました。長く愛情を持って環境やものと接してゆくことが大事なのではないでしょうか。 |
建築家は英語でアーキテクト(architect)といい、アートとテクノロジー(技術)の融合を図る人間として定義されています。アートとテクノロジーのどちらが優先されるかは、建築家のポリシーによって、また状況によって異なるわけですが、我々の建築は技術優先がほとんどです。現代建築は、機能性、情報、システム、技術、工学、社会システム、法律、経済などのテクノロジーによって規定されており、個人の趣味による嗜好は機械のようなシステムに入る余地は極めて少ないのです。個人の嗜好ではなく、アートとして昇華されたコンセプト(フィロソフィ)のみが技術と融合できるのです。 最先端の技術が開発される過程が、多くの実験の積み重ねによるように、我々も技術の試行錯誤により徹底して突き詰めた結果の融合を図ります。合理的で美しい想像力に満ちた空間を創造することを目標としていくことを目標としているのは、そういう理由にあります。 |
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大組織に所属し、大きな仕事をいくつか手掛けてきました。業務は人間のスケールを遥かに超えた超高層や複合施設などでした。そうした業務では、人間的なヒューマンスケールでの考え方は生かせないのでしょうか。その答えのヒントを与えてくれたのは、関西空港ターミナルビルを設計したレンゾ・ピアノとオブアラップ(技術者集団)の故ピーター・ライスでした。近代建築の3原則「フレキシビリティ(融通性)」「トランスペアレンシー(透明性)」「ビジビリティー(視認性)」というリネンを掲げて、旅客施設という巨大空間を合理的な技術で追求した結果、見事にエキサイティングな施設としてそれを実現したのでした。私は大組織のカウンターパートとして彼らと接触し、深く感銘を受け、その数年後に退社しました。個の先見性、創造性は、日本の大組織では限界があるのではないか。管理業務的な煩雑な業務に埋没しないで、自由闊達な精神による建築の創造に携わることが重要なのではないか、という思いで、個と集団の双方の知恵と知識を生かせる集団を目指して都志デザインを創ってまいりました。
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